イエテボリ市の高齢者対策

  1. スウェーデンの高齢化率など

     1999年の高齢化率は16.4%。人口の5%が80歳以上である。高齢社会が進むとしばらくは高齢化率が上昇し、元気老人または虚弱老人が増加するが、そのうち高齢者の全数は低下し、前期高齢者数は減少し、後期高齢者数が増加する。ということは痴呆が増えることとなる。80歳以上の5人に一人が何らかの痴呆を有し、4人に一人は糖尿病がある。心疾患や癌、骨折も増える。

     65歳から老齢年金生活者と呼ばれるようになる。年金は国民年金が基礎年金で、その上に仕事をしていた分の収入や期間によって付加年金が支給される。企業年金も会社や事業体との契約で支給されている。前期高齢者は多くは元気で70歳以下の86%が何らかの仕事についている。世界最高水準だ。70歳を超えると仕事に就いているのは1〜2%である。80歳までは大体において健康だ。

  2. イエテボリ市のこと

     スウェーデン第2の都市で人口は60万人ほど。17%の高齢化率。5人に一人が移民で複合文化都市だ。21の区に分割されており、区行政ごとに高齢者対策が実施されている。

     市の予算の約50%が高齢者・障害者福祉予算になっている。北欧諸国はどの市町村も同程度。25%が国からの助成金で10%が利用者負担、65%が市町村税からとなっている。サービスを利用している高齢者一人当たりの費用は21〜24万Kr(日本円にして約200〜230万円)。人件費が75%を占めている。

     ホームヘルプサービスは8000人が受給しており、平均週8時間のサービスを受けている。3週間に1回掃除のサービスを受けている人から一日24時間のサービスを受けている人までさまざまだ。

     特殊住宅のサービス。詳しくは北欧の高齢者対策のスライドまたは北欧報告(住宅についてはこちらのほうが詳しい)を見てほしい。

     デイケアとデイサービス。デイサービスは誰でも利用できる。障害が無くても淋しいというだけでもOK。活動は盛んで本格的な活動ができる。北欧の高齢者対策のスライドを参考に。

     介護手当の支給。家族介護をしている人のためだ。主に外国人が利用している。ヘルパーとして給与が支給される。

     住宅改造について。最近は障害を負っても自宅で生活できるような住宅になってきている。他に安心アラームなど。

     サービスの開始は行政によって執行すると解釈されている。(コメント盛次)これは意外であった。自分の希望するサービスが買えるものと考えていたからだ。本人・家族・職員等が区に申請し、査定員が訪問する。通常は希望と査定が一致するが、一致しない時は却下されたと見なされる。主治医の意見を尊重するが実態との食い違いが多かったので社会福祉士の査定員が決めるようになった。看護婦や理学療法士が同行して総合的な判断を下すようになっている。査定に不服があれば行政裁判所に訴えることができるが件数はそれほど多くない。判決は判例となりその後に生かされてくる。外国からの移民の場合の里帰り費用を認めるかどうかなど公平に判断されねばならない。

     職員について。看護助手と准看護婦で職員の95%を占める。残りは正看護婦や理学療法士や言語療法士や管理者事務職員など。92%が女性で平均年齢は43歳。20%がフルタイム、22%がパート、58%が週40時間以内のパート(扱いは正規職員と同じ)。昨年の定着率が93%。

     民間委託率はイエテボリ市が3%、スウェーデン全体では8%。特殊住居については査定後、許可が与えられ、サービス提供状況が継続的に監視される。監査はいつでもできることになっており、市民の誰でもが監査できることとなっている。

     職員養成は最も力を入れているところ。ポイントは以下の通り。責任制、意見を出し反映される事、経済状況を考える事、今後の方向性を見通すこと、積極性、自分からも情報要求する事、継続教育プログラムを受ける事、チームリーダーの役割を認識する事などだ。

     最近はベンチマーキングシステムを取り入れている。多施設を比較したえず学んで向上する事を勧めている。サービス開発・提供について目標を定めて、到達度を測定している。

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