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医療法人 きらりは、地域に根差した医療施設・介護施設として心をこめたサービスを提供しています

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〒791-3120 愛媛県伊予郡松前町筒井1540

しんどいと感じるとき

しんどいと感じるとき、楽だと感じるとき

2010年5月の連休、いつに無く楽だ。

そのわけは5月2日のことにあるのかなと考えた。83歳、一人暮らしの男性。以前から診療しており、ここ6ヶ月で10Kgほどやせて、意欲も減退し、特に午前中は臥せっていることが多くなった。労作時の呼吸困難があり、胸郭形成術を受け、肺気腫があるのが関係しているのだろう。感染症による増悪も考えられ、4月末から酸素療法をはじめたが効果は無い。銀行に勤め、松山市に住んでいる息子と受診し、息子は入院をさせたいとのこと。本人は入院は亡き妻と自己の経験から嫌がり、自宅で最期を迎えたいと言われていたが、とりあえず今は入院してくれといい、救急病院へ。たまたま県病院、ついていた。即日入院となった。今回のケースは100%入院で正しいと思うが、そこで考えてみた。2つの点で。一つはもう少し在宅で診られる場合だったらどうなのか、きっとしんどいだろうけどそれは何のためにするのかって言うこと。もう一つはそう僕が心に決めた時、看護師をはじめ、みんなはどうなのか?どう思い、どうするのかって。

第一点目。入院はとりわけ救急は入院受け入れ体制ができている。身体的に必要性があれば、必ず受け容れ、それで当たり前だと思っている。それを在宅で受け入れるということは、点滴一つとっても、再度抜きに行くか家族に何度も説明しなくてはならないし、多くの手間暇と確認作業が必要だ。そう考えていたとき、山登りと比較してみようと考えた。何故しんどい思いをして山に登るのか?そこに山があるから?それはそれで正しい。途中はしんどいけど登頂した時の達成感は何物にも代え難い。似ている。しんどい所は同じしんどさだろう。在宅の場合は本人との人間関係もさながら家族とも他のサービス担当者とも気を遣う分だけ余計にメンタルだ。じゃあ、達成感って何?しんどさに打ち勝つこと、困難を乗り越えること、それらは自分に負けないことなのだ。自分にって?自分で立てていた目標だ。自分の患者さん(あるいはサービス利用者)の心の奥底の思いを感じ、共感して、味方になって、その人らしさの実現に手を貸し、そうしてくれてありがとうって言ってもらえるような関わりを持ちたい。そして、最期まで付き合うってことだ。我々は、今までの棲家に棲み続けたいと思いをもたれていたけれども諸般の事情で施設や病院で亡くなった方を見てきた。面会に行った仲間たちは一様にあんな所には行きたくないと言われ、再び面会に行こうという話も出ないくらいだった。我々も悔しい思いをしながら仕方の無いことだとあきらめてこざるを得なかった。病院でしかできない手術が必要な時などの絶対的な場合を別にすれば、ケアが有れば在宅で可能であることはこの業界の人間だったら誰でも知っている。だからこそ、本人が望めば、可能な限り力を尽くすのが我々の役割だってことは分かりきっている。しかし、いつも山登りしているのはしんどいのと同じように、ちょっと休もうっていうのはOKだ。

もう一点、在宅って決めていく時、一人じゃできない。誰かが最初にかかわりができるだろうけど、そこから他の職種も情報を共有して、支えてあげようよっていう気になって人間関係を次々に結んでいかないとできない。どこかが手一杯で動けないとほころびができちゃう。つまり、一つの機関が足を引っ張るっていう構造がある。東北大震災で一つの部品が調達できないから乗用車が生産できないのと同じだ。

経営面でも同じことかも。しんどいけど達成感が有る時、仕事は軌道に乗り、収入もそれについていく。楽した時、自然と収入は少なくなる、そんなものだ。


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